第12章 何度でも(モブサイコ編)
十四松side
家に帰りつくとチョロ松兄さんが不機嫌にドスンと腰を下ろしていつもは下がっている眉を吊り上げて、おそ松兄さんを見据えた。
僕とトッティーもその横に寄り添って座る。
そして僕たちの前におそ松兄さんが座った。
「一松とカラ松をくっつけたのは僕達だ。それなのに別れるつもりのなかったカラ松を何でその気にさせたんだよ!?一松は考え直したんだぞ!?一松がどれだけショックを受けたかわかってんの!?」
そしたらおそ松兄さんは畳に額を貼り付けて謝った。
僕は驚いた。
てっきりいつもの飄々とした感じで何か考えがあっての事だったんだって言ってくれると思っていた。
それなのに、おそ松兄さんの口から出たのは謝罪の言葉だった。
どういうこと?
それじゃあ、やっぱりあの二人は別れるの?
でも、顔を上げたおそ松兄さんはいつものように白い歯を見せてニヤッと笑っていた。
「誤解だって、別れるけど恋人同士にはなるからさ」
「はぁ!?」と声を上げるチョロ松兄さんの横で僕とトッティーは顔を見合わせた。
おそ松兄さんは僕達を病室から出した後の話をしてくれた。
おそ松兄さんに後先考えて行動しろと説教をされたカラ松兄さんは一松兄さんがショックを受けていたことにやっと気づいて大泣きしたらしい。
その後、カラ松兄さんは何故か生まれ変わることを固く決意してしまった。
「意味わかんなかったけどさ、一松に仕返しするのにちょうどいいシナリオ思いついちゃったから一芝居打ったら一松がショック受けすぎてぶっ倒れちゃって」
そう言って舌を出して頭を掻くおそ松兄さん。
「仕返しって・・・何で?」
トッティーが尋ねる。
「俺達が居なかったらあいつら未だに犬猿の仲だぜ?それに、カラ松はあんな扱い受けてもずっと一松を思ってきた。今回だって結果はどうであれ一松の事を思ってしたことだ。なのに簡単に別れるなんて言ったあいつが俺は許せない」
チョロ松兄さんはその言葉に頷いていた。
それを見ておそ松兄さんは「だろ?」と片目をつむる。
そして人差し指を立てて白い歯を更に見せて言う。
「チョロ松は絶対に一松を説得できるって信じてたからさ、仲直りのつもりで戻ってきた一松に別れようってカラ松に言わせたんだ」