第10章 歪み(モブサイコ編)
十四松side
お巡りさんに高木さんを引き渡して救急車を呼んでもらって事情を説明した後に兄さんたちの元に戻った。
部屋には血の匂いともう一つ血とは違う生臭さを感じた。
僕は何が起きたのか察したけどあえて何も言わなかった。
きっとカラ松兄さんが望んでしたことだと思ったし、一松兄さんは僕が来たのにも気づかないほど落ち込んで蹲って泣いてたから。
声をかけるよりも優先すべきはカラ松兄さんだ。
カラ松兄さんの下には小さいけど血だまりができている。
僕はタオルを何枚か見つけてきてカラ松兄さんの傷口に当てがった。
そこに救急隊員が駆け付けた。
程なくしておそ松兄さんとチョロ松兄さんとトド松が僕の分身と一緒に駆け付けた。
「カラ松っ!?」
救急隊員にタンカーに乗せられたカラ松兄さんにチョロ松兄さんが駆け寄る。
「急いでますので離れてください!誰か付き添いを!」
その声におそ松兄さんが手を上げる。
「俺と一松で行く」
おそ松兄さんは一松兄さんに肩を貸してしっかりしろと言いながら部屋から出て行った。
「十四松兄さんっ、いったい何があったの!?」
僕は一松兄さんを探すために家を出た後の事を話した。
一松兄さんの微かな匂いを探るように歩き回っていたら頭上から声がして、そこを見るとアパートの上の階からカラ松兄さんが身を乗り出して僕を呼んでいた。
駆け付けたらカラ松兄さんの目の前の扉の表札に高木と書かれていた。
カラ松兄さんが鍵を指さして「できるか?」と聞いて来たので僕は分裂して小さくなってから郵便受けから中に入った。
中から鍵を開けるとカラ松兄さんは静かに入ってきてそのまま奥へと進んでいった。
カラ松兄さんが突入した後、僕は更に分裂して高木さんに気づかれないように部屋に侵入して、その時にはカラ松兄さんは刺されていた。
僕は一松兄さんの手錠の鍵を開けて、ばれないようにゆっくり元の姿に戻った。
その時、分裂した小さな僕を三匹外に出しておそ松兄さん達を呼びに行ってもらって、元に戻った僕はカラ松兄さんを一松兄さんとともに止めたことを話した。
一松兄さんが媚薬をのまされたことは一松兄さんも知られたくないだろうと思い黙っておいた。