第10章 歪み(モブサイコ編)
カラ松side
体を動かすとナイフが新たに肉を切る。
俺は鬱陶しいそのナイフを抜き捨てた。
どくどくと湧き出る血が俺の腹を生暖かく包むのが気持ち悪かった。
このままでは貧血で動けなくなってしまう。
早く片を付ける必要があった。
俺は高木の腕を掴み引き寄せるのと同時にもう片方の手で胸ぐらを掴みながら身を翻し高木の体を背負い投げた。
そして馬乗りになり顔面に拳を叩きこむ。
「これは一松に薬を飲ませた分!」ーーーゴッ
「これは一松に怖い思いをさせた分!」---ガッ
「これは一松を騎馬から落とした分!」---ドカッ
思いつく限り言っては殴りつけた。
「最後に・・・これは一松の親友を傷つけた分だ!」
最後は鼻をへし折ってやる気持ちで思いっきり振り上げてから力いっぱい振り下ろした。
ーーーーガシッ!
しかし、俺の拳は高木には届かなかった。
俺の腕にしがみつく一松と俺を後ろから羽交い絞めにする十四松がいた。
「カラ松、これ以上やっ・・・たら、はぁ・・・お前が人殺しになっちゃうよ・・・もう俺、十分だから!早く病院に行こう?」
涙を流しながら俺の腹や頬にペタペタと力なく触れる手首は痛々しく痣になったり血が滲んだりしていた。
瞳は媚薬の所為か感情の所為か潤み、顔は赤らんでいる。
これ以上ないくらい不安の籠った顔。
感情にとらわれて一松を不安にさせてしまったことを後悔する。
俺は一松を強く抱きしめ、止めてくれたことへの礼を言う。
「一松、すまない・・・ありがとう」
「ううん、助けに来て・・・くれて、ありがと」
どちらからともなく床に倒れこんだ。
「すまない、十四松・・・後は頼む」
「あいあいさー!じゃあ、この人近くの交番に連れて行ってくる!救急車も呼んでくるから待ってて!」
十四松はクローゼットからネクタイを見つけてくると高木の手足を縛って脇に抱え走っていった。
「一松、一度楽にしてやる・・・」
俺は服の擦れる感覚にすら声を上げ始めている一松の下着を下ろしてやった。
「はっ!?こんな時に何してんの!?んあっ!」
「こんなに腫らしてるんだ、辛いだろう?俺は平気だからじっとしてるんだ」
俺は一松の先端を口に含み唾液をたっぷり絡めてやる。
伝った唾液をローション代わりに竿を手で扱いた。