第2章 想い
カラ松side
俺はおそ松と釣り堀に来ていた。
雰囲気から何か話があることは察していたので、こちらから話を促した。
「で、何の用だ?」
おそ松はぱっとこっちを見たがすぐに水面に浮かぶ浮きに視線を戻す。
「お前、一松がうなされる度に一松を抱きしめてやってたんだって?」
「っ!?」
知られていないと思っていたので驚きを隠せなかった。
「弟思いの次男をもってお兄ちゃん心強いわ」
そういうおそ松に俺は照れ隠しで、そんなこと言うために来たんじゃないんだろうと本題聞き出す。
俺を揶揄うつもりだったんだろう、ちぇーっと言いながら竿を上げて浮きをパシッと捕まえると俺の方に向きなおった。
「お前、一松おとせ」
「は?」
俺にはこいつが何を言いたいのかわからなかった。
いや、わかってるけどなぜそんなこと?
「何?俺にばれてないとでも思った?お兄ちゃんなめないでよ、お前が一松の事好きなの気づいてるから」
ニヤニヤと俺の顔を覗き込んでくる。
「そ、そりゃぁ大事な弟「大真面目に言ってんだよ」
セリフを遮られた俺は言い訳を諦めおそ松に向きなおった。
「なぜ急にそんなことを言い出すんだ。それに、俺達は兄弟だぞ」
「本当にそんなこと思ってるの?だったら等の昔に吹っ切れてるだろ?」
その言葉から察するに大分前、もしかすると俺が一松を好きになった時点で気づいていたのかもしれないと思った。
本当にこいつには頭が上がらない。
そんなこいつにだから、俺は今、自分が抱えている悩みをぶつけてみた。
「あれから十数年経った、でも俺は一松を未だに救えずにいる。兄としても男としても失格じゃないかと思っている。」
おそ松はじっと俺を見据えて言った。
「そこで手を引いたらそれこそ俺はお前をぶん殴るぜ?」