第10章 歪み(モブサイコ編)
俺も慌てて玄関に走る。
「一松のサンダルがない!」
「カラ松、そんなに慌てなくても大丈夫だって猫に会いにでも行ったんだろ?」
「おそ松兄さん、何悠長なこと言ってんの!?高木に狙われてるかもしれないんだよ?」
そこへ十四松が帰ってきた。
「たっだいマッスル~って・・・皆玄関に集まってどうしたんっすかぁ~?」
「十四松!一松を見なかったか!?」
「見なかったけど・・・でも誰かの視線は感じたよ!あははー、あれ一松兄さんだったのかなぁ?違う気がしたけど・・・」
「それって・・・高木だったんじゃ」
青褪めるトド松の頭を撫でながらおそ松が十四松に尋ねる。
「十四松、その辺に高木さん居た?」
「ううん、居ないよ!においもしないし!」
「な?トド松、大丈夫だって」
「十四松・・・」
俺は無い頭をフル回転させた。
「確か、前に高木の事で俺と一松が喧嘩して一松が出て行った時も家の前で視線を感じたと言っていたよな?」
「うん、感じたよ!」
「それがどうかしたの?」
おそ松が不思議そうに言う。
「その視線は・・・」
俺は恐る恐るある方向を指さした。
それは家の中からはわからないが・・・
「うん、そう!あっちの方から感じたよ」
「カラ松兄さん・・・?その先に何があるの?」
震える声で問うトド松に俺も声を絞り出した。
「高木の・・・アパートだっ!」
流石のおそ松も動揺を隠せない感じだった。
「何やってんの!カラ松っ一松兄さん追いかけて!!」
トド松の叫び声に俺はパンク寸前の頭をリセットして走り出した。
今はとにかく一松を探し出さなければ!
高木よりも早く!
・・・頼む、俺達の取り越し苦労であってくれ!
そう願うばかりだった。