第8章 新境地
部屋に戻り、扉に手をかける。
「あ、そうか鍵・・・」
手荷物の中から鍵を探していると荷物の隙間から鍵が滑り落ちた。
俺はその鍵を拾うためにしゃがみこむ。
その時だ、一瞬背後に気配を感じて振り向いた。
「誰っ!?」
「どうしたんだ、一松?」
そこには置いて来たはずのカラ松がいた。
「お前、早くない!?」
「あぁ、髪も乾かさずに来たからな!来る途中にタオルで乾かしはしたが」
「ちゃんと乾かさないと風邪ひくよ・・・あ、ごめん馬鹿は風邪ひかないね、フヒっ」
「俺のことを心配してくれるのか!一松、嬉しいぞ!しかしだな、俺はお前の方が心配だ、一人で歩き回るんじゃないぞ!」
心配とかしてないし、俺、女子供じゃないし。
口にはせずに心の中でつぶやいた。
気遣いが嬉しかったから今回は特別。
そして、部屋に戻って収まらなかった俺の欲望はカラ松の手で解放されることになった。