第8章 新境地
一松side
カラ松が真剣な表情で幾筋も汗を伝わせながら俺の顔に近づいては離れていく。
そんなことに俺はドキドキと心を乱されていた。
そして薄いタオル一枚隔てたそこでカラ松の足の甲が何度も俺の下半身を押し上げてくる。
それで行為の時に腰を打ち付けられる時の事を思い出して顔が熱くなった。
やばいと思ったけど、ここはサウナ。
ごまかしがきく。
「一っ、松っ、ふっ・・・どうしたっ、俺にっ、見とれてっ、50っ!」
チュッ。
「へ!?」
突然カラ松との距離が無くなる。
こいつ何でこんな事しかしないの・・・ホント心臓持たない。
そしてすぐに離れて、カラ松はゼーハーと息をしながら俺の下から足を引き抜く。
「流石にサウナで腹筋はヤバいな・・・」
「フヘっ、ホント馬鹿だね」
俺達は一旦サウナを出て水風呂へ体を冷やしに行った。
あれだけ体を動かしたカラ松にとっては気持ち良い温度だったようだけど、俺にとってはまだまだ冷たかった。
俺は少しずつ足の先から温度を確かめるように汗を流していった。
そしてもう一度だけと言うカラ松に付き合う。
普段、俺の意思優先だからこういうのは新鮮で嫌いじゃない。
サウナの戸を閉め、カラ松の隣に座ろうとした時だった。
カラ松が俺の腰に巻いたタオルをぺらっと捲る。
俺は慌ててタオルを押さえた。
「なっ、何すんだよ!」
「水風呂で少しは落ち着いたか?」
にやりと笑うカラ松の顔面に足をメリ込ませてやろうと足を持ち上げて振り下ろした。
だけど、俺の脚は直前で掴まれて俺は体勢を崩す。
そしてそのまま椅子の上に押さえつけられた。
「は、離せ!」
「すまない、でも、俺は責任を取りたいんだ」
言ってる意味が分からず声を荒げる俺にカラ松は静かに、でも俺の中に響く低い声で囁く。
「俺の脚の刺激に興奮したんだろう?」
バレていたのだと分かり恥ずかしさから赤面する。
そして、この低い声に弱い俺は動けなくなる。
体が覚えている。
この声の後にやってくる快楽を・・・
捲られるタオルが太ももの上を滑っていく。
それにすら吐息が漏れるほど俺は期待してしまっていた。
「一松・・・エロくなったな?」
「は!?」
「そんなに期待するような目で見られたら流石の俺も我慢がきかなくなるぞ?」
そう言ってカラ松の手が俺のをグッと握り、扱き出した。