第8章 新境地
「パンツ忘れてきたのか?」
「いや、忘れ物はなかったと思うんだけど・・・」
「それなら、一松っお前まさか今日はずっと・・・すまない気づいてあげられなくtぶふっ!!」
「んなわけあるか!!」と顎に強力な一撃をくらって俺の体が壁までぶっ飛ばされた。
少し足早に風呂に向かう一松を俺が追いかけるという珍しい並びで大浴場に向かい、夕方使ったロッカーの籠を確認する。
念のためその周辺の籠や忘れ物と書かれた籠の中も確認したが一松のパンツは見当たらなかった。
ガックリと肩を落とす一松の肩に元気を出せと手をのせる。
なくなったものは仕方がないし、幸い着替えはあるのだ。
俺達は気を取り直してゆっくり風呂を満喫することにした。
小さい子供連れが多く、サウナは空いていた。
「一松、サウナでひと汗かかないか?」
「うん、いいよ」
俺達二人しかいなかったので俺は筋トレでもしようと一松を傍に呼ぶ。
「何?」
「俺の脚を押さえてくれないか?」
膝を直角に曲げて寝転がり、足首をここに乗れとクイックイッと動かした。
一松は言われるがまま俺の足の甲に乗る。
座れたことを確認して俺は規則的に上半身を起こしては倒した。
数回やっただけでドッと汗が噴き出る。
それが気持ちよく、無我夢中で腹筋を繰り返した。