第8章 新境地
「俺、そういうの付ける柄じゃないし・・・」
「それならこちらはいかがですか?」
そう言って案内されたのはお土産定番のストラップだ。
猫が玉を抱えたようなデザインだ。
玉にはさっきのリングのストーンのようにカラーバリエーションがあって、こちらは玉の色によってご利益が違うらしい。
俺と一松は少しの間眺めた後、お互いを見やった。
「土産にどうだ?」「・・・お土産」
決定だなと二人で微笑みあった。
おそ松には『勝招き』の赤。
俺のは『力招き』の青。
チョロ松には『職招き』の緑。
一松のは『幸招き』の紫。
十四松には『金招き』の黄色。
トド松には『恋招き』の桃色。
一つずつ包んでもらって俺達は旅館に戻った。
旅館に戻るととりあえず今日の疲れを癒そうと風呂に向かった。
風呂の種類は結構いろいろあって、広めの内風呂、ジャグジーバス、サウナ、水風呂、薬湯、露天風呂なんかがあった。
食事の時間もあったので改めて入りに来ることにして少し浸かってすぐに上がった。
部屋に戻ると直ぐに仲居さんがやってきて食事の支度を始める。
俺達はテーブルに向き合って座る。
並べられた豪華な食事に一松も俺も目を輝かせた。
ドキドキしながらも箸を進める。
この刺身がうまいとか煮つけがうまいとかどちらかが言うとどちらかがそれを口に運んで美味いなと言い合う。
ありふれたことだけど、二人だけの空間でなされるこんなやり取りがどうしようもなく幸せだった。
食事を済ませ、横になり少し腹を落ち着かせる。
「明日はどこに行くの?」
「ああ、今日行った通りの先にちょっと変わった神社があるらしいからそこに行こうと思っている」
「変わったって?」
それは秘密だと言いながら俺は立ち上がりクローゼットから備え付けの羽織を出してきた。
「夜は冷える、これを着ておくといい」
「ん・・・ねぇ、風呂行こう」
「ああ、いいぞ」
そう言って行く前に昼間着ていた服をそのままにしてあったので畳み直して袋に詰める。
すると横から「あれ?」という一松の声が聞こえた。
「どうした?」
一松は少し顔を赤らめて何でもないと俯いた。
何でもなくないようだと思い、一松の洗濯物を確認するとパンツがないようだ。