第1章 悪夢
ごめんね、カラ松。
俺、人間以下の燃えないゴミだから、一番俺のこと守ってくれたお前を傷つけて自分を守る道を選んだ。
これで俺は・・・
大好きなお前が罵られるのを見なくて済む
ごめんね。
ごめん・・・
「おいっ、一松?」
声に振り向くとカラ松がいた。
すっかり物思いにふけっていて気配に気づかなかったらしい。
そこで、俺は自分の頬を伝うものに気づいて慌てて前を向き拭った。
俺はそのまま無言で空になったネコ缶を片付けると路地裏から出るために立ち上がり、歩き出した。
「クソ松、そこ邪魔なんだけど」
「あ、ああ・・・すまん」
カラ松は端によって道を開けた。
そして俺の一歩後ろをついて来る。
俺は足を止めて不機嫌に振り向いた。
「何?ついてこないでくれる?」
「俺はブラザーに用があってきたんだ」
「俺はお前になんかに用ないけど」
再び歩き出した俺の背中にかまわずカラ松が問いかけてきた。
「今朝も昔の夢を見たのか?」
「は?」
今朝もって・・・なんだよ。
それじゃ、まるで
「お前、あの日以来時々見ているだろう?」
こいつは知っていたのか?
俺が時々見る悪夢の事・・・
「今日は気づいてやれなかった・・・すまない」
「何の事?夢なんか見てないし。本当時間の無駄」
俺はそう言って足早にその場を去った。