第7章 俺のモノ!
「一松、頑張ってるね?」
おそ松兄さんは俺の頭をくしゃっと撫でた。
俺は驚いておそ松兄さんを見やる。
「お前、ほんと偉いよ」
「え、何?急に・・・気持ち悪いんだけど」
「何だよ、本気で褒めてるんだか素直に受け取れよ!ったくお前はかわいくないねぇ~」
その言葉にドキッとした。
そして俺は完全に酒に飲まれていたんだろう。
おそ松兄さんにこんな質問をした。
「こんな俺じゃ、そのうちカラ松に愛想つかされるかな?」
おそ松兄さんがゆっくり酒を含む。
その時間がとても長く感じた。
「お前、もっとカラ松を信じてやれよ」
「・・・信じてるけど」
「お前自身のことも信じてやれよ」
おそ松兄さんは横に眠る兄弟たちに視線を移して言った。
「いくら六つ子だからって100パーセントそいつのこと理解できるわけじゃない。だけど、こいつら皆お前の事お前自身以上に信じてる。お前ひとりの判断なら料理教室なんて自分には絶対無理だって思わなかったか?」
「思った・・・と思う」
「だろ?でも、チョロ松とトド松はやってみろって背中を押してくれた。それに、自分はゴミだって、要らない存在だって俯いたままのお前を十四松とカラ松はずっと見守ってきた。今のお前見てみろよ、お前の事信じてやってきた十四松とカラ松が正解だっただろ?お前はカラ松に必要とされてるじゃん」
もちろん俺達にもと言って鼻の下を擦るおそ松兄さん。
俺は思わず目頭が熱くなる。
カーッと鼻のあたりが熱を持つ。
それを隠そうと俯いた俺の肩をおそ松兄さんがぽんぽんと叩く。
「俺達には想像できないくらい頑張ってきたのはわかってる。泣きたい時は泣けよ、それだけのことしてきたんだから誰も笑わない。その代り自分を信じろ。お前みたいな良い奴誰も嫌わねぇって。何てったって兄弟で男のハート射止められちゃうくらいだもんな!」
「うん、ありがとう・・・」
ありがとう、おそ松兄さん・・・
「ちょ、そんな素直に来られると調子狂うんだけど!怖いっ、逆に怖いよ一松く~ん?」
その後はよく覚えていない。
ただ、悲しいとかそういうわけじゃないのにとめどなく涙があふれたことは覚えている。
あぁ、飲みすぎたな
泣き上戸とかだっさ・・・
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