第7章 俺のモノ!
エプロンを付けた俺を見ておそ松兄さんが吹き出す。
「一松、花嫁修業でも始めたの?」
「そうだよ」
俺は恥ずかしいのを堪えてあえて正直に答えた。
だははははと大口お開けて爆笑するおそ松兄さんに俺は「カラ松には内緒ね?」と手にしていた包丁をちらつかせた。
おそ松兄さんは青褪めて数回頷いた。
俺はトド松に指示を受けながら調理をする。
トマトと玉ねぎを何度も手を切りそうになりながら刻んでいく。
カラ松にも食べてもらいたいなと考え事をしていて本当に手を切ってしまった。
トド松が慌てて手当てをする。
そんなこんなでパスタが完成した。
「僕と一松兄さん特製のなすとトマトのミートスパだよ!」
おそ松兄さんと十四松がパスタを口に運ぶ。
それをトド松が麦茶をコップに注ぐ横で俺はドキドキしながら見つめていた。
「うっまーーー!一松兄さん、トッティー、良いお嫁さんになれまんなぁ!」
「本当にうまいじゃん!松代にはこんなお洒落なの作れないよ?」
そう言われてほっとして、やっと俺も座ってフォークを持った。
トド松は麦茶を配りながら言う。
「僕は殆ど指示を出しただけ。それに僕はお嫁さんにはならないから!」
そう言ってトド松は十四松に口を尖らせて見せた。
「見た目は僕と一緒でゴミ同然だけどね」
俺がそう言うとおそ松兄さんは料理は味だ、そんなに卑屈になるなよとトド松と同じ様な事を言っていた。
俺も少しは自身を持ってもいいのだろうかと嬉しく思いながらパスタを食べた。
(うんまー。レシピ書き留めておこう・・・)
皆がパスタを食べ終わったところでおそ松兄さんがプリン食べようと十四松と一緒に涎を垂らして言う。
トド松がプリンを取りに立ったので俺は皿を片付ける。
そして、プリンの入っている箱を開けると中から甘い香りが漂った。
プリンは丁度4つ。
カラ松に食べさせたかったなと思いながらも自分の作ったプリンを十四松と自分の前に置く。
トド松も自作のプリンをおそ松兄さんと自分の前に置いた。
パスタ同様、良い反応が返ってきて嬉しく思う。
「カラ松兄さんに残さなくてよかったかな?」
忘れかけていたことを十四松が口にする。
「いいよ、十四松に毒見して貰ってからカラ松には作ってあげるから・・・ヒヒッ」