第3章 たつ兄の秘密
真っ白な肌をピンクに染めながら
嬉しそうになのかの話をする横山くんを
眺めながら
俺はまた昨日見た
なのかのいろんな顔を思い出す…
嬉しそうに笑う顔
怖がる顔
怒った顔
恥ずかしがる顔
泣いた顔
悲しそうな顔
最後の顔だけは
させたくなかったのに
"ごめんな"なんて言いたくなかったのに
その言葉しか言われへんかった
その理由は………
「なんやねん大倉…(笑)
お前言葉にところどころトゲがあるぞ?
あーもしかしてかおちゃんとケンカでも
されたんですか(笑)?」
「そんなんちゃうけど…
ただな横山くん俺もうかおとは………」
「何やねん…?
お前もしかして別れるつもりなん?
かおちゃんお前にベタぼれやのに
かわいそうに…」
誰に言われんでも…
自分が最低なことも
かおをひどく傷つけることも分かってる
分かってても
もう俺後戻りはしたくないねん……
かおと付き合いだしたのは一年前
出会った時には俺は
俺のことを"たつ兄"と呼んで
無邪気に慕ってくれるなのかに
恋をしてた………
でも俺は…
その関係を壊す勇気がなくて
"横山くんの妹"
その壁があまりに高くて
そんな
たった一歩を踏み出す勇気もない
ぐだくだな俺を
好きやって言うてくれて
"私が幸せにしてあげるから(笑)"
なんて笑ってくれたんがかおやったんや……