第8章 不器用な恋
なのかside
たつ兄が隣にいる
それが嬉しくて…
今まで触れられなかった分
ずっとくっていていたいのに
さっきからたつ兄は
そわそわ部屋の中を歩き回ってて
全然隣にいてくれない(涙)
だから思いきって
「たつ兄…いい加減座ってよ………?」
そう言って部屋中をうろうろする
たつ兄の手を掴んで引き寄せると
「はぁ………」
なんてでっかいため息をつきながら
私に背中を向け隣に腰をおろす……
そんな予想外の冷たいたつ兄の態度に
下を向き繋いでた手を離すと……
"はぁ………"
なんてまたさっきより大きなため息が
聞こえたあと…
「これはなのかが悪いんやで………?」
そう言ってたつ兄は
くるりと私の方に体を向けると
私の体をソファーに押し倒して
おでこにキスを落とす……
さっきまでと真逆に
いきなり密着した体に
「何…ごと……?」
なんて焦りまくる私をよそに
たつ兄の唇がほっぺたや鼻やおでこに
触れて……
あと少しで
唇と唇がくっつきそうな距離で
私を見つめる……
もどかしくて
そわそわする距離に
「たつ兄…………?」
そう名前を呼ぶと
「うん…………?」
なんて……
吐息が唇をかかる……
"触れたい…"
なんだか妙に恥ずかしくて
顔をそらそうとすると
そんな私の顔をたつ兄の手が
ふわりと包み込んで
「俺は我慢しようとしてたのに…
なのかが誘ったんやからね(笑)」
そう言って私の頬を指先でなぞる…
そんなくすぐったい指先に
「いや…あの…違う……
あれは誘ったんじゃなくて…
ただたつ兄に触れてたくて………」
なんてさらに焦りまくる私に向かい
「もう手遅れです(笑)
やから思う存分俺に触ってええよ…?」
なんて笑いながら
ゆっくりと唇が触れる……
優しく何度も何度も触れる唇に
身体中が熱を帯びて
もうどうにでもなれ……(涙)!
なんてたつ兄の腕をぎゅっと掴んだ瞬間
部屋中に
"ピンポーン"
なんて甘い空気を打ち消す音が
鳴り響いた……