第8章 不器用な恋
なのかside
みんなに勇気をもらって
勢いだけでここまできたものの
本当は怖くて仕方がない……
だから今だって
インターホンに伸ばした指が
小さく震えてしまう…
たくさんたくさん
たつ兄を傷付けた事実
どんな理由があったにしても
消えることはない。
"もういらない"
そう言われてしまうことが
怖くて息も出来ない…
ガタガタと物音をさせながら
扉がゆっくりと開いて
"はいはい…誰ですか………?"
なんて少し気の抜けた
たつ兄の声が聞こえて
たつ兄の胸に飛び込んだ瞬間
「たつ兄好き………」
そう一番に伝えた………
たつ兄がどんな決断をしても
この気持ちだけは伝えたかったから……
でもそんな私の言葉に
たつ兄は黙ったまま
何も言ってはくれなくて
「たつ兄…………?」
そう言って顔を見ようとした瞬間
「今はあかん……見んといて………?」
なんてたつ兄の声がして
たつ兄は手のひらで私の目を
目隠しをする………
でも
たつ兄の指が私の目を隠す寸前
たつ兄の頬に涙が見えて
「泣かないで……………?」
そう言ってたつ兄の体を
ぎゅっと抱きしめると……
「もうあかんて……(笑)
ズルすぎるわなのかは…………」
なんて微かに震えるたつ兄の声が
耳元で聞こえて…
「ほんとにごめんね…たつ兄………?
何回でも謝るから
私のこと嫌いにならないで……?
たつ兄がいなきゃ…
私もう息も出来な………んっ…!」
そう言いかかけた言葉を
たつ兄の唇が強引に塞ぐ………
塞がれた唇が…
空気を求めて少し開くとその隙間に
たつ兄の熱い舌が割り込んで
さらに中を犯していく熱に
くらくらと目眩がする………
体から力が抜けて
ぐらりとたつ兄にもたれかかると
やっとたつ兄は私の唇を離して
苦しくて肩で息をする私に
「どんなになのかが悪い子でも
嫌いになんかなってあげへんよ?
今さら俺から逃げようなんて
思わんといて……?
絶対に逃がさへんから…… 」
そう言って
私をぎゅっと抱き締めた……