第8章 不器用な恋
泣きじゃくる私の髪を撫でながら
"よしよし…(笑)"なんて笑う
裕兄の腕の中で…
「何………言ってるんですか……?
じゃあこの写真ばらまいても
いいんですか………?
ばれて困るのは
あなたたちですよね…(笑)?」
なんて笑うひろの声が聞こえる…
でもそんなひろの言葉に
「ばらしたかったらばらしたらええよ…
そんなんで俺らは何も困らへんからな?
でもな…?
他の何を許せても
なのかを傷つけるんだけは許さへん…」
そんなすばちゃんの声がして…
「何で…?
何で…みんなそうやって
俺の邪魔ばっかりするかな…(笑)?
ただ俺はなのかが欲しいだけやのに…
裕兄たちが邪魔しなかったら
なのかは俺のものになって…
俺の隣で幸せになるんですよ…
だから早く
こっちにおいでなのか(笑)?」
そう言って
私に向かって伸ばされたひろの手は………
「アホなんかお前は……?
そんなん一つも幸せちゃうやないか…?」
なんて信ちゃんの言葉に
ゆっくり床に落ちて行って
「だって仕方ないじゃないですか…?
こうでもしないとなのかは俺を
見てくれないんだから…?
小さい時からずっと
なのかだけを見てきたのに…
今はタイミングが悪いだけや…
いつか俺だけを見て笑ってくれる
そう信じていつも隣にいて
支えて見守ってきたのに
それやのになのかは
俺を見ようともしない(笑)
だからこうするしかなかった……」
そう言って下を向いたひろの足元に
涙の雫かぽたぽたとこぼれ落ちる…
「アホすぎるはお前……。
そんなことする前に
ちゃんと自分の気持ち
なのかに伝えたらよかったやろ…?
不器用にもほどがあるわ…(笑)」
そんな裕兄の言葉を聞きながら
私はひろと過ごした
学生時代を思い出していた
毎日一緒に学校に通って…
辛いときも哀しいときも
いつだってひろはなにも言わず
私の隣にいてくれて…
たくさん一緒に笑って…
たくさん一緒に泣いて…
隣にいることが当たり前で
ひろの気持ちに
何一つ気付いてあげることが出来なかった…
「ごめんね…ひろ………?
ほんとに…ごめんなさい………」