第8章 不器用な恋
なのかside
怖くて目を閉じ
泣き叫んでいた私を抱きしめる
あったかい腕に
ゆっくりと目を開けると
「大丈夫か…………?」
なんて心配そうに私を見つめる
すばちゃんと目が合う…
「本物……………?」
そう言って
すばちゃんの顔に手を伸ばすと
「アホかお前は………(笑)」
なんて笑いながら
涙でぐちゃぐちゃな私の頬を
優しく拭いてくれて…
そんなすばちゃんの隣で
すばちゃんに蹴られたお腹を押さえながら
立ち上がったひろの
「なのか…こっちにおいで………?」
そう私を呼ぶ声に
ぶるぶると小刻みに震えだした私の体を
「大丈夫や…」
そう耳元で囁きながら
すばちゃんはぎゅっと抱きしめてくれる……
「ひろ…
お前どうしたんや……?
こんなことするような奴
ちゃうかったやろ…?
お前となのか仲いい友達やったやろ… ?」
すばちゃんの腕の中で聞こえてくる
そんな裕兄の声に
「だから……
何でみんなそんな風に言うかな…(笑)?
昔も今も俺はずっと変わってないのに…
もうみんな邪魔しないで下さいよ…
もう少しでなのかを俺だけのものに
出来たのに…(笑)
でも……これがある限り
誰も俺の邪魔は差せませんから…」
なんて笑う
ひろの声に顔上げると…
笑顔のひろは
裕兄やすばちゃんや信ちゃんの前に
スマホを差し出していて
「ダメ…………!」
そう叫んでスマホを奪いとろうとした
私の手をすり抜け
三人はスマホに写し出された
私とたつ兄の写真を
まじまじと見つめ……
「これで分かったでしょ………(笑)?」
なんて笑うひろに
「よーく分かった………」
そう言って下を向きスマホを返した………