第8章 不器用な恋
裕兄side
「はぁ…緊張するなぁ……(汗)」
家に向かって歩きながら
そう言って怖くて少し震える拳を
握りしめてると
「ちゃんと護衛にひなも連れてきたし
心配せんでも大丈夫やって
言うてるやろ?」
なんて隣を歩くすばるは
あきれぎみにため息をつくけど……
誰に何回大丈夫やって言われても
不安な気持ちは全く消えることはなく
逆に膨れ上がる一方で…
そんな気持ちが少し紛れるとしたら
理由も告げられず
拉致されるように連れてこられたひなの
「美味しいもんでも
食わせてくれんの(笑)?」
なんて言いながら笑う
緊張感の欠片もない
笑顔ぐらいなもんやん…(笑)?
「ひな……お前は何があっても
ずっとそのままでおれよ………(笑)」
なんて笑いながら
家の前まで歩いてきたら
家の前にうずくまる
でっかい人影が一つ………
「お前……何してんの………?」
下を向いたまま
小さく丸まる大倉に近付いて
そう声をかけると
「横山くん…………
俺………もう…解らんわ……
なのかが……別れたいって………」
なんて………
苦しそうに嗚咽を漏らしながら
呟く………
そんな見たこともない大倉の姿に
何て声をかければいいんか解らなくて
黙ってたら…
「お前の泣き言聞いてる
時間なんかないわ…
することないなら家に帰れ……」
そんな……
容赦ない言葉を吐き捨て
すばるは大倉の横を通りすぎていく……(汗)
でも……
そう言って
ずんずん前に進むすばるの後ろを
追いかける俺の後ろから…
「すばるは今
ちょっとご機嫌斜めなだけやから
気にせんでええ…(笑)
でもな…?お前は何があっても
アイドルなんやから
道端でうずくまってたりしたらあかん。
やから今は…
なのかのことは俺らに任して
家に帰り(笑)?」
そんなひなの声が聞こえてくる……
やっぱりひなはすごいわ………(笑)
どんな状況でも
ちゃんと空気を読んで
かけるべき言葉が解ってる………
だからこそ頼りにしてるし…
少し羨ましくもあるんやな……(笑)