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365日家族

第8章 不器用な恋


なのかside

帰りたくない………



少しづつ近付いていく見慣れた景色に

気分はどんよりと澱んでいく…


この角を曲がってしまえば

家についてしまう

そう思うと


「はぁぁ…………』


とてつもなくでかいため息が

口から飛び出してくる…


それでもここから

逃げるわけにはいかないから


必死に足を前に踏み出して


家の前に着いた時



「なのか…………」



そう私の名前を呼ぶ

たつ兄の声がして……



"まさかね…?"


そう思いながら

後ろを振り返ると


体がふわりと温かい腕に包まれる……



「どうして………?」


「昨日から…そればっかりやな(笑)

だから毎回言うてるやんか…

なのかに会いたいからやって……(笑)」


耳元で囁かれるそんなたつ兄の言葉に


ずっと怖くて強張っていた体から

力が抜けて…


私を抱きしめてくれるたつ兄の背中に

腕を回そうとした瞬間…



「なのかお帰り(笑)」



そんな声が

たつ兄の背中越しに聞こえて



咄嗟に背中に伸ばしかけた腕で

私はたつ兄の体を突き放した………
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