第8章 不器用な恋
大倉side
昨日のなのかの態度に
なんだか胸がざわざわ騒いで
我慢出来ずに
家のまえで待ち伏せしてしまってる
アイドルの"大倉忠義"です……(涙)
自分がしてることが
どれだけアホらしいことかなんて
自分が一番分かってる……
それでも……
なのかが何かに苦しんでんのに
それを見て見ぬふりなんか
出来るわけないやんか………?
家の前に立ち尽くすこと一時間
いい加減足も痛くなってきて
"横山くんに電話しちゃう?"
なんて少し弱気になってきた頃……
"トントン"と不意に肩を叩かれ
後ろを振り向くと
見たこともない男の人が
俺を見て微笑んでて…
「はい?」
なんて訳もわからず返事をした俺に
「こんにちわ(笑)
突然声かけてすいません。
なのかちゃんの彼氏さんですよね?
僕なのかちゃんの幼なじみで
向かいの家に住んでるものです。
いつもなのかちゃんから
話し聞いてます(笑)」
なんて丁寧に自己紹介をしてくる……
「どうも…………」
そう短く挨拶をするとそいつは…
「なのかちゃん…
もうすぐ帰ってくると思いますよ?』
なんて顔にこれ以上ないくらいの
笑顔を浮かべながら言うと
俺に向かって頭を下げ
向かいの家に入っていく………
なんなんやろ…この感覚は………?
初めて会ったのに
あいつの笑顔が嘘くさいって感じて…
笑顔の奥の目が
怖いと感じてるんは………
何でなん………?