第7章 変わり始めた日常
伸ばされた手の
目的が分かった時には
もう手遅れで…
「嫌………ダメ…それだけはダメ……」
そう言って震える私の耳から
ひろはピアスを外し…
まじまじと見つめながら
「これもその彼氏からもらったんやろ…?
お揃いでつけてるの…この前見たよ(笑)?
なんかさ…なのかばっかり幸せみたいで
ずるいよね………?」
なんて独り言のように呟く……
そんな見たことのないひろの様子に
恐怖を覚えながらも
「ひろお願いだからそれ返して…?」
そう必死に懇願すると…
ひろは
「いいよ(笑)」
そう言ってにっこり笑う…
でも……
「その代わり…
なのかの幸せ俺にちょうだい(笑)
そしたらこれ返してあげてもいいよ…?」
そんな訳のわからないひろの言葉に
首をかしげる私に
「そもそも
なのかには選択肢なんてないよ…?
だって俺には切り札があるから(笑)」
そう言って笑顔のひろが差し出したのは
ひろのスマホで…
恐る恐る手を伸ばした私に
スマホに写し出された一枚の写真が
目に入る…
「何でこれ…………?」
「うん…よく撮れてるやろ…?
アイドルと一般人の密会現場(笑)
もしなのかが俺の願いを拒否するなら
俺はこの写真ネットにばらまくよ……?
そうなった時困るんは
アイドルとキスしてるなのかかな…?
それともなのかとキスしてる
このアイドルの方かな(笑)?」
そう言って私を見つめるひろに
「分かったから…
なんでもひろの言う通りにするから
それだけはやめて………?」
そう溢れてくる涙を必死に拭いながら
頼んだ私にひろは満足そうな笑顔を浮かべ
ゆっくりと顔を近づけ
唇を重ねる…
「なのかはええ子やね(笑)
こんな彼氏思いの彼女がおって
"大倉忠義"は幸せものやわ(笑)」
そうすれば言ってひろは
にっこりと笑った………………