第5章 戦う勇気 手放す勇気
大倉side
ここに来るまで
散々悩んだ…
だって俺はなのかをたくさんたくさん
傷付けてしまったから…
それでも俺がここに来たんは…
"なのかの側におってやって…?"
そんな横山くんの言葉があったからや…
実際なのかは今
布団を頭までかぶって
俺の顔を見てくれへん…
"たつ兄はご褒美なんかじゃない…"
そんななのかの言葉に
胸がぎゅっと締め付けられる…
"帰って…?"そう呟く声が震えてて
布団の中から小さな嗚咽が聞こえてきて
我慢出来ずに布団をはがすと
涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔のなのかは
俺から顔をそらす…
その顔を両手で挟んで
無理やりにキスをすると…
唇を離した瞬間
真っ赤な目をしたなのかと
目があって…
「ごめんな…
俺…なのかが笑えるんなら
側におれんでもいいって思った…
でもやっぱり側におりたい…
なのかがおらな…俺が笑われへんから…」
そう言って下を向き
なのかの手を握りしめると
「たつ兄…私のこと好き………?」
そんな
少し震えたなのかの声が聞こえてきて…
「好きなんて言葉じゃ足りへんよ?
なのかがおらな俺息出来へんもん…」
そう言った俺を…
「私も…たつ兄が大好き…」
なのかはふわりと抱きしめてくれた…