第5章 戦う勇気 手放す勇気
裕兄side
俺はどこで間違えてしまったんや……?
俺の目の前で
点滴の針に繋がれて青白い顔で
病院のベッドで眠るなのかを見てると
そんなことばかりが頭に浮かんでくる…
昨日なのかは
俺に嘘をついた……
唇を噛み締めながら
必死に笑顔を作って…
生まれた時から一緒におるんや…
なのかのつく嘘なんて
目をつぶってても見破れる。
必死に作った笑顔の裏で
"大倉が好きで仕方ない"
そう言えずに泣いてるんに
気付いてたくせに……
俺はそれに気付いてないふりをした…
何があって俺のとこに戻ってきたんかは
分からへん…
でもその嘘を見抜いたら
またなのかがどっかに行ってしまいそうで
俺はなのかのためじゃなく
自分のために
その嘘に騙されたふりをしたんや……
ごめんななのか………?
情けない兄ちゃんで………
こんなにも苦しんでるなんて
思ってもなかったんや…
俺だけが一人ぼっちで寂しいんや
そう思ってたから……
なのかが元気になって目を覚ましてくれたら
もうそれだけでええわ…
だからもうそんなに苦しまんと
"裕兄(笑)"
そういつもみたいに名前を呼んで
笑いかけて……?
そしたら俺は……
なのかのために出来ること
全部やるって約束するから………