第5章 戦う勇気 手放す勇気
大倉side
仕事が終わって家に帰ると
家の中になのかはいなくなっていて
静かすぎる部屋の中が
妙に寂しく感じてしまう…
自分で追い出したくせに
自分勝手なやつやな俺は……(笑)
でもしょうがないやんか…?
仕事から帰ってきて
まだここになのかがおったら
いいのに……
そう少しだけ願ってたんやから(笑)
本当は離したくなんかなかった…
俺の手で笑わせてやりたかった…
出て行けなんて
絶対に言いたくなかった……
でも……
毎日必死に笑顔を作って
"大丈夫だよ?"そう言い続ける
なのかを見てたら
もう限界なんやと思った…
これ以上俺と一緒におったら
なのかはきっと上手に笑えなくなって
そのうち泣くことさえ出来なくなる
そう思ったから……
なのかを横山くんに返そう
そう決めた。
横山くんならきっと
なのかを笑わすことも
思い切り泣かせてあげることも
出来るはずやから……
もっとなのかが弱ければ…
俺がおらんと駄目になるぐらい
俺に溺れてくれたら…
そしたら俺は
何があろうとなのかの側から
離れたりせーへんのに…
でもそうじゃないのは
初めから分かってたから
そんなんも全部ひっくるめて
俺の大好きななのかやから
苦しくてしゃーないけど
これでなのかが笑えるんなら
このひどい胸の痛みも
受け入れられそうやわ…