第5章 戦う勇気 手放す勇気
なのかside
久しぶりの家の中は
なんだかすごくホッとして落ち着く…
こたつに入りながら裕兄が入れてくれた
あったかいコーヒーを飲んでいると
「大倉と…ケンカでもしたんか……?」
なんて私の様子をチラチラ探りながら
なんだか気まずそうに
裕兄が聞いてくる……(笑)
「ケンカじゃないよ…………(笑)?
ずっとたつ兄と一緒にいて気付いたんだ…
私とたつ兄じゃ釣り合わないって…
なんかもう疲れちゃった(笑)
同じアイドルなのに
裕兄とたつ兄じゃ大違いだったよ?」
私がそう言って笑うと
「お前…それ…俺に対して失礼やろ(笑)?
でも…うん…そうか………」
なんて少し困った顔をして
裕兄は私の頭に
ぽんぽんと優しく触れる………
裕兄の声……
裕兄の笑顔……
裕兄の手……
ずっと恋しかったものが
目の前にある……
嬉しいはずなのに
また涙が溢れてくるのは
たつ兄を失ったから………
これはきっと裕兄とたつ兄
どちらも選べなかった私が受け入れるべき
胸の痛みなんだ……