第5章 戦う勇気 手放す勇気
なのかside
仕事が終わって家に帰っても
誰も居ない家の中で
一人洗濯物をたたんだり
ご飯の準備をしたり
忙しく動いていれば
よけいなことを考えなくてすむ…
でも…
洗濯物が片付いて
ご飯も出来て
することがなくなって
ソファーに座ってると…
裕兄はご飯をちゃんと食べてるかな…?
毎日外食とかしてないよね?
部屋の掃除はちゃんとしてるのかな?
洗濯物も…洗い物も…ちゃんとしてる?
こたつで寝たりしてないよね?
ほら…
気を抜いたら裕兄のことばっかり…(笑)
裕兄の笑顔が恋しいなぁ…
"なのか"って少し上ずった声で呼ぶ
裕兄の声が聞きたい…
そんなことを考えていると
また瞼がジンジンと熱を帯びてきて
涙があふれそうなって
ぎゅっと体を小さく丸めると
そんな私の体を
ふわりと温かい腕が包み込んできて
「ただいま…なのか(笑)」
そんな声が耳元で聞こえた…