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ブラック・リード (鉄血のオルフェンズ)

第1章 ゼロ・ワン


「バレットさん…バレットさん…」
名前を呼ばれて目覚める。どうやら爆発で気を失っていたようだ。瞼を持ち上げると、日光が目に入って神経がずくっと痛む。4年前の事故で、私は強い光が苦手になっていた。まず上着のポケットに手を突っ込んだが、いつもの保護グラスがない。仕方なく瞼を閉じて光を入れないようにしながら、辺りを手探りし始めた。これは違う、こっちでもない...。何度か別のものを掴んでいると、誰にグラスを握らされる。かけると、タカキの心配そうな顔が見えた。
「たかき…?」
「ああ、よかった…!今、オルガさん呼んできますね」
タカキはそう言って立ち去る。これは夢じゃない。ついさっきまで、火星の民間会社CGSは、ギャラルホルンの襲撃を受けていたところだった。半壊のフロアいっぱいに、ござを敷いた簡易ベッドが並んでおり、運ばれてくる負傷者は後を絶たない。辺りを見ると、年下組が救急セットを持って走り回っている。
少し経って、オルガがやってきた。
「気がついたか…!身体はもう大丈夫なのか…」
「あぁ、問題ない。それより状況は…?」
「粗方片付いたところだ。すぐで悪りぃが、ミカを診てくれねぇか」バルバトスで出撃したまま帰って来ないという。
「分かった。ちょっと行ってくる」
けれど、オルガはまだ心配のようだった。
「頼む。…でも、本当に平気なのか?昔のこともあるしよ…」
「大丈夫だって。たぶん、ミカの方が重症」
「そうか…」
「オルガは過保護だなぁ」
「うるせぇ」オルガは私の髪をぐしゃぐしゃとかき回した。「お前見てるとヒヤヒヤする」
「あははっ。俺、そんなに柔じゃないよ」
乱れた髪を直しつつ、わたしはベッドから降りた。そのまま基地の外へ出る。空気の乾燥が厳しい。風で巻き上げられた砂が、ぱちぱちと頬を叩く。ここは火星でもはずれの土地だ。クレーターを改造した演習場に降りると、チャドが近づいてきた。
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