第1章 始めに
拾った鉄柱を振り回し、バケモノを攻撃する。
ぼく:「たあ!とお!お姉さん!!こっち!」
いつの間にかぼくは、お姉さんの手を離していた。
お姉さん:「逃げて!私のことは大丈夫だから!逃げて!」
ぼくはバケモノと戦いながら、逃げた。
泣きながら逃げて、お姉さんを見捨ててしまった。
「アルベルト博士のお化け屋敷」に着けば、仲間に会える。
お姉さんを助けて貰える。
きっと、そうに違いない!
お姉さんを助けるんだ!
「アルベルト博士のお化け屋敷」は、100年以上も昔の話で、アルベルト博士が住んでいた屋敷、今は行方不明のまま消息を絶っていた。
博士が行方不明となってから、屋敷の窓辺に博士がいる事に気がついた人々は、見かける度に何度か呼びかけてみた、博士は気が付く様子もなく、再び姿を消した。そんな事が続いた。
誰もが見かける博士は、歳を取らず薄っすらと姿がちらつくことがあった。
博士は何かの実験に失敗し、既に亡くなっているのではないかと噂が立ち始めた。
やがて、気味悪がった人々は、「アルベルト博士のお化け屋敷」と称して、その屋敷には近づかなくなっていたのだ。
今はその屋敷が、バケモノから身を守る屋敷となっていた。
なぜかは分からない。
博士が死を賭して実験した何かの副作用によるものなのか、バケモノは屋敷に入ることも、屋敷を見ることも出来ないらしいのだ。
ぼくは走った。その安全地帯を目指して必死に走った。
夜になると現れるバケモノから逃げるように、暗く影の伸びる場所を避け、曇の日や雨の日、太陽の光が差し込まない日は、バケモノと戦いながら、必死に走った。
もう、体力の限界だよ。
青年:「おい!あそこに子供がいるぞ。止まれ!坊主!大丈夫か!」
ぼくは、青年に拾われた。
車に乗せられ、なんとか「アルベルト博士のお化け屋敷」に辿り着いたのだ。
どのようにして辿り着いたのか覚えていない。
車の中で少ない食料を分けてもらう。食べ物なんて久しぶりだ。
小さくちぎりながら食べるパンと少量のミルクを口に運び、無我夢中で食べた。
体が満足したところで、いつの間にか眠りに落ちていた。
目が覚めると、そこには大勢の避難民が屋敷のロビーに居座っていた。