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【ダメプリ】宵粒 (裏)

第2章 深層心理操作Ⅱ



今日で、記念すべき10回目だ。慣れた手つきでアリスの部屋の中に忍び込む。
この一ヶ月間、真夜中に行われていることに、この城の中の誰もが気付いていない。もちろん、アリスですら。

最近では、城中の者がアリスの存在を認め信頼してきているおかげで、従者が夜に部屋の扉の前で見張りにつくことがなくなった。一国の姫だからと頑なに離れなかった従者を外したのはアリスだ。夜間は見回りの兵だけで十分安心できるし、見ていられると落ち着かないといって、クロムとリュゼに訴えた。

全く好都合にも程がある。毎度毎度眠らせていては違和感があるだろうと思い、策を考える必要性を感じてきていたところだったのだから。
天も自分に味方している。


部屋のドアに辿り突くと、合鍵を静かに回して解錠。易々と入り込んだ部屋の中で、暗闇に目を慣れさせるため閉じていた目を開く。
寝台に寄ると、心地よさそうに眠る寝顔を見つけた。

今日の昼に話をした際、最近よく眠れて気持ちがいい、と笑ってくれたアリス。良かったな、と言ってやると、ふと瞬いて彼女は自分に顔を寄せてきた。
どきまぎして、なんだよ、と小さく言うと、…その後彼女から出た言葉は、今思い出しても胸が熱くなる。
彼女は、「メアの匂いって何か落ち着くなぁ」とはにかんだのだ。

(その時のオレの心情、アンタには想像つかないだろうな…)

キュアランの新刊を読んだ時の喜びよりも、もっともっと上の歓び。彼女の血を初めて舐めた時の興奮に似ているかもしれない。けれどそれよりもずっと、彼女を強く抱きしめたいような、体をめちゃくちゃにしたいような、破壊衝動にも似た激情で満たされた。

オレがずっとしてきたことは間違いじゃない事が確立された。アンタは確かに、オレを知ってくれている。知り始めている。
だから、なぁ。

「10回目の今日は、新しい挑戦の日に、するべきだよな」

今日まで通う内に、メアはアリスの夜着の種類まで把握していた。
上下に別れたパジャマタイプからワンピースまで。今日は、前開きのネグリジェの日。
それを狙って来たのだ。

「アンタの味、…オレに教えろよ」

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