第1章 深層心理操作
「っ!」
思わずアリスの顔を見る。大丈夫だ、起きる様子はない。
薬が効いているとわかっていても、もしかして起きてしまうのではとどきどきする。
いや、それよりも。
(触っただけなのに……、)
ぞくんと、痺れるような快感。なんだこれ。興奮で意識が飛びそうだ。
アリス。
「アリス…」
手がゆっくりと上下に動き始める。すやすやと眠る目の前で、熱を擦って喉を震わせる。
「ぁ……ッきもち、っい、」
すぐに熱は頭を起こして固さを増した。先から滴が溢れ、にちにちと音が立っていく。目を細めて声を抑える。
あぁ、オレ、アリスの目の前で。アンタの目の前でこんなこと。
違う、したいのはこれだけじゃない。腰が熱い。触ってほしい。
乱れる息を絞りながら左手をアリスの横に突いて前に倒れ、濡れた熱の先で彼女の喉を撫でた。
「っうあ、は…っ 、ぁ」
頭の中が痺れる。アリスの体温が伝わってくる。
あまりの快感に溺れそうになりながら、何も知らない彼女の喉を濡らしていく。
ああ気持ち良い、嬉しい、背徳感、興奮、欲望、ぐちゃぐちゃに混ざってもうどうでもいい。
どうでもいいだろ。アリスはオレのものだ。印をつけておかないと。手に、目に、肌に、舌に、耳に、触覚味覚視覚聴覚嗅覚、アリスの脳にオレを刻み込まないと。
だからほら。
「く はは、アリス…。 アリス」
熱の先をやわらかく小さな唇にあてがって、押しつけて、耳に囁く。
「なめて」
当然反応はなかったけれど、敏感になった部分が温かい息に包まれ歯が先端に当たって、快感の波に恍惚とした笑みが浮かんだ。
いつも笑いかけてくれる唇が、自分のあさましい欲望を咥えている。それだけで達してしまいそうになる。
もっと押し込みたい。ロの中をいっぱいにしてやりたい。柔らかいロを割って、温かい舌に、オレの味を覚え込ませるべきだ。
でないとアンタは、オレを知っているとは言えない。そうだろう?
オレはアリスの全てを知りたい。アリスにも全てを知って欲しい。知りたいなら、まず自分から教えるべきだよな。