第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
あらためて感じた、自分と師匠の差。
ゾロは薄く笑いながらクレイオを見下ろした。
「“鷹の目”の存在を知ったのがいつだったか、もう覚えちゃいねェが」
「・・・・・・・・・・・・」
「おれは“鷹の目”を知ったその日から今日まで、必ずそいつを倒すと心に誓ってきた」
“クレイオは、おれがもらう”
そうミホークに宣言したように、クレイオにも父親を倒すと宣言したゾロ。
律儀なのか、それとも単なる馬鹿なのか。
どちらにしても、彼は一番出会ってはいけない男だったのかもしれない。
「ゾロ・・・貴方のことはシャンクスから聞いていた」
「へぇ、そりゃ悪口か?」
「モンキー・D・ルフィの仲間で、ミホークに一目置かれている剣士だと」
だから期待した。
“コンパニオンプランツのように、自分を強くしてくれる出会いがある。貴方との出会いがそれならば、私は神に感謝したい”
ジュラキュール・ミホークの名を恐れず、敗北の時は大剣豪の剣を真正面から受け入れた男。
己の未熟さを悟り、運命を享受することのできる強さを、自分も欲しいと思った。
「でも、貴方は私が思っていた以上に危険な人のよう。これが神のご意志ならば、私に試練をお与えになっているのかもしれない」
この野獣に屈服し地獄に堕ちるか、それとも欲望に打ち勝つか。
「そこをどいて、ロロノア・ゾロ」
それは喉元を突かんとする剣先のように、一切の慈悲の無い声だった。
そして、野獣を見上げる“鷹の目”。
怖い。
だが、強烈に憧れる。