第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
“ミホークとクレイオはな、実の親子らしいぞ”
ペローナからそう聞いた時、バラバラに散らばっていた点が一本の線で繋がったような気がした。
40歳過ぎという年齢を考えれば、ミホークにクレイオぐらいの年齢の娘がいても不思議ではない。
それまでは気にしたことが無かったが、ロビンと同系統のシャープな顔立ちも、漆黒の髪も、彼女の容姿の一つ一つがどことなくミホークに似ている。
そして、この淡褐色の瞳───
時おり見せる、相手に圧迫感を与えるような眼差しは、まさに“鷹の目”だ。
「おい、こっち向け」
顔を見ているだけで刺激される、征服欲。
ソファーに押し倒している今なら、抵抗したとしても力で屈服させることができるだろう。
でも、それをしない・・・いや、できないのは。
「やっぱその目だな」
「・・・目?」
「ミホークそのものだ」
クレイオの瞳を見つめているうちにミホークとの手合わせを思い出し、ゾロの背筋に冷たいものが走った。
シッケアール王国に来てからというもの、ミホークと剣を交えたことは何度もあった。
覇気を覚えてそれなりに腕を上げたと思っていたのに、昨晩ほど彼との力の差を感じたことは無い。
それは、自分が“井の中の蛙”だった頃にイーストブルーで戦った時よりも、遥か遠く。
本気で怒りを覚えているミホークと交えた剣は、少しは縮まったと思っていた実力の差が、単なる幻想でしかなかったという現実を突きつけてきた。