第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
「ミホークに・・・そんなことを言ったの?!」
「コソコソすんのは嫌いだからな」
この男は自分の言っていることを理解しているのだろうか。
合意のない性行為など、ただの凌辱だ。
「どうしてそんなことしたの?!」
「だから言っただろ。おれは正々堂々とお前をおれのモンにしてェんだよ」
ああ、この男は狂っている。
そうでなければ、底なしのバカだ。
包帯を巻いてあげようとしていたクレイオの手が、ゾロの身体から離れる。
彼には近づかない方がいい、そう警鐘が鳴っていた。
「どうして・・・どうして、ミホークに・・・」
手から落ちた包帯が床に転がり、白い一本の線が伸びていく。
さっきあれほど“人の罪を赦します”と神に誓ったはずなのに、ゾロへの嫌悪感は募るばかりだった。
「おい」
「近寄らないで!」
「・・・・・・・・・・・・」
よりによってミホークにそのような事を言うなんて・・・
この男を今すぐ斬り殺したい。
「おい、逃げんな」
“おれがお前に剣を教えるのは、お前に剣を握って欲しくねェからだ”
───シャンクス・・・!
後ずさりするクレイオを捕まえようと、ゾロの手が伸びてくる。
腹に負った傷から血が滲んでいるが、おかまいなしだ。
「逃げんなって」
両手首をつかまれたと思った瞬間に体勢を入れ替えられ、ソファーに押し倒されてしまう。
必死の抵抗も、ゴリラのような腕力の前では無力に同じだった。
「お前が怒るのも無理ねェが、謝る気はない」
ふざけるな、触らないで!
そう叫びたかった。
なのに声は喉の奥で止まったまま、身動きすらできない。
クレイオは恐怖と怒りで呼吸が荒くなるのを感じながら、ゾロを見上げた。