第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
この日もミホークから稽古をつけることを断られたゾロは一人、森の中にいた。
「9865、9866、9867・・・」
鉄棒に500キロの重りを付けての素振りは、すでに日課となっていた。
2万回振ったら筋トレをし、昼食を挟んでヒューマンドリル達と戦う。
ヒヒをあらかた倒したあと、最後は覇気を高めるための修行で一日が終わる。
ミホークに教えてもらいたい事は山ほどあるのだが、今日もそれは叶いそうになかった。
「ミホークの野郎、いったいどうしちまったんだ」
別に具合が悪いというわけではなさそうだ。
夕食はこれまでのようにゾロやペローナと一緒に取るし、避けられているというわけでもない。
ただいつも一言、“気乗りしない”とそっけなく稽古を断られるだけだった。
「・・・・・・・・・・・・」
やはりクレイオの存在か?
それともシャンクスに何か言われたのか?
本当にただ気分が乗っていないだけかもしれない。
筋トレを終えたゾロが汗を拭きながら城に一旦戻ると、ミホークがテラスのソファーに座っているのが見えた。
よくそこで新聞を読んだり、剣の手入れをしたりする姿を見かけるが、今日はいつもと様子が違う。
「・・・?」
ミホークは脚を組みながらソファーに深く座り、背もたれに首を預けて眠っているようだった。
いや、目を閉じているだけで、寝ているわけではないのかもしれない。
無防備のようでいながら、一切の隙を感じさせないのは、やはり流石としか言いようがなかった。
そんなミホークに一つの影が近寄っていることに気づき、ゾロの眉がピクリと上がる。
「クレイオ・・・?」
目を閉じるミホークのそばに歩み寄り、その顔をじっと見つめている。
細かい表情までは見えないが、ミホークの寝首をかこうとしているわけではなさそうだった。