第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
汗を流した後は、寝る前の筋トレをやるつもりだったのに・・・
風呂の前で待ち構えていたペローナに捕まり、強引に広間へ連れていかれる。
必要ないというゾロの主張もむなしく、ペローナは問答無用で怪我をしている部分に包帯を巻いていった。
「お前なァ、もう少し考えろ。これじゃ動きづれェ」
「無駄に動かさねェように巻いているんだろ?! お前、バカか」
最初の頃こそ、ミイラ男にでもするつもりかとツッコミたくなるほどグルグル巻きにされたものだが、最近はそれなりにうまくなってきているのかもしれない。
緩んでいるところはないし、きつ過ぎるところもない。
あとはもう少し、関節を動かせるように巻いて欲しいものだ。
「これでよし。もう外すんじゃねェぞ」
「・・・・・・・・・・・・」
「返事は?!」
「ヘイヘイ」
言いたいことはいくつかあるが、兎にも角にも手当をしてくれる事自体はありがたい。
両手を握ったり開いたりしながら、五指が問題なく動くかどうかだけ確かめ、“ありがとな”と礼を言った。
すると、ペローナはギクリとした顔で、あからさまに溜息を吐く。
「はぁ・・・私はいったい何をやってるんだ・・・こんなやつの手当をしてやるなんて・・・それもこれも、こいつが面倒ごとばかり持ってくるせいだ・・・」
「おい、何をブツブツ言ってんだ。それより、聞きたいことがある」
「聞きたい事?」
「今日、この城に女が来なかったか?」
するとペローナは心当たりがあるらしく、首を縦に振った。
「ああ、そういえば来たな。陰気臭ェ女が」
やはり・・・と、ゾロは軽い胸の高鳴りを覚えた。
先ほどは空腹すぎて考えることをやめたが、予想は当たっていたようだ。
「そいつ、今はどこにいる?」
「さぁ。いきなり訪ねてきたと思ったら、そのままミホークの部屋に行ったぞ。すぐに赤髪が来たから、その後のことは知らねェ」
「なるほどな・・・」
なら、まだミホークの部屋にいるのかもしれない。
そもそも、シャンクスといったいどういう関係なんだ?
いや・・・先に一人で来てミホークの部屋に行ったという事は、ミホークに関係のある女なのか?