第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
白い背中に押された大きな焼印が、ランプの光で浮かび上がる。
つるはそれを見て眉をひそめた。
天竜人の紋章───
“お願いです、私をこの船に乗せてください”
“お前はいったい誰だい。海賊でも海兵でもない人間を軍艦に乗せるわけにはいかないよ”
“私は天竜人の奴隷です。10年間、ドフラミンゴに捕らえられていました”
もし本当に天竜人の“所有物”であるならば、海軍は彼女を保護しなければならない。
自らの意志で脱走したのなら罰し、何らかの理由で天竜人から盗まれたのなら持ち主の元へ返すために。
だけど、つるは天竜人の奴隷だと名乗ったこの女から、それ以上のものを感じていた。
“仕方がないね・・・船に乗りな。私が許可する”
鉄の扉が再び閉まり、牢の中はドフラミンゴとクレイオの二人になる。
すると囚人は笑いながらクレイオに向かって、“こっちへ来い”と促した。
「それにしても随分と無残な姿になったものね」
「そうでもねェさ。これはこれで気楽なもんだぜ」
ドフラミンゴが今、自由がきくのは首から上だけ。
それ以外は海楼石のせいで力を入れることができない。
「もっとおれの視界に入るところまで来い」
「・・・・・・・・・・・・」
その言葉に、クレイオがみぞおちの上を跨るように座ると、ドフラミンゴの顔に満足そうな笑みが浮かぶ。
「お前の身体、やはりこうして見るとたまらねェな」
忌々しい海楼石の鎖・・・
これさえなければ、今すぐにでも押し倒してやるものを。
「残念だが、お前を抱けそうにねェ。その代わり、もっとその身体を見せろ」
お前の肌の柔らかさ、滑らかさ、温かさ。
全てを監獄に持っていく。
「これから行く場所には、そうそう娯楽があるもんじゃねェからな。悶々とした時にお前を思い出せるよう、目に焼き付けておく」
冗談っぽく言ったドフラミンゴに、クレイオもフフフと笑った。