第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
美しい笑顔の後ろでは、見えない翼が左右に大きく広がっているようだった。
クレイオは今、大空へ羽ばたこうとしている。
周りにあらゆる敵がいることを知るかもしれない。
他の動物に捕食されるかもしれない。
人間の娯楽のために銃で撃たれるかもしれない。
雷がその羽を貫くかもしれない。
それでも、自分の羽で自由に飛んでいく覚悟を決めた。
「フフフフ・・・」
それまで氷のように表情の無かったドフラミンゴの顔に笑みが浮かぶ。
「おつるさん、悪いがその女をこの檻の中に入れてくれ」
「バカなこと言うんじゃないよ。そんなことできるわけがないだろう」
「そいつは能力者じゃねェ、ただの非力な女だ。当然、おれも指一本動かさねェ・・・そもそも、指一本まともに動かせねェほど力が抜けてる」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
しかし、つるは威圧的な態度を崩さず、ドフラミンゴを見下ろしていた。
15年・・・いや、もっとか。
センゴクに言われてずっとドフラミンゴを追いかけてきた。
七武海になってからもずっと、彼とは何かと関わってきた。
もちろん、悪党に対して沸く情など微塵もない。
だが、ドフラミンゴはただの悪党とは違う。
同年代の女性ならすでに孫の一人や二人はいてもおかしくないだろう高齢の海兵は、小さく首を横に振った。
「分かった・・・5分だけ許してやろう。ただし、変なことを考えないよう、クレイオには衣服を脱いでもらうし、私もここにいる」
「ああ・・・恩に着る、おつるさん」
ドフラミンゴは口の端を上げると、マントを脱いでいるクレイオに目を向けた。
もしかしたら、彼女の玉のように美しい肌を見るのはこれが最後になるかもしれない。
マントも、ブラウスも、スカートも、靴も、ドフラミンゴが見たことのないもの。
どれもクレイオが自分で調達したのだろう。
その全てを取り、上半身は裸、下半身は下着のみとなると、牢獄の扉が重い音を立てながら開かれた。