第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
ドクン・・・
クレイオの心臓が大きな音を立てた。
これで・・・全てが決まる。
麦わらはドフラミンゴを見下ろし、何かを叫んだ。
もちろん、その声はクレイオの耳には届かない。
しかし、これだけ離れていても分かる。
麦わらは私利私欲のために戦っているのではなく、ドレスローザのために怒りを露わにし、命をかけて戦っているということを。
ドフラミンゴ・・・
貴方にとってそんな彼は、ただの“愚か者”にしか見えないでしょう。
でもそういう男だからこそ、“神”の天敵になり得るのかもしれない。
互いに、覇王色の覇気使い。
これが最後の戦いになることは、誰の目にも明らかだった。
それだけ麦わらもドフラミンゴも限界に達しようとしている。
ドクン・・・
ドクン・・・
「“大猿王銃”!!!」
麦わらの右手がさらに大きく膨らんだかと思うと、巨大な鉄球のようになった拳をドフラミンゴの頭上めがけて振り下ろした。
ドクン・・・
ドクン・・・
「“神誅殺”!!!」
ドフラミンゴも地上から16本の“凶弾”と化した糸の塊を打ち上げる。
二つの強大な力がぶつかった瞬間、強い衝撃波と稲妻が四方に飛び散った。
「うっ・・・」
中心から離れているというのに、何かに掴まっていなければ立っていられない程の爆風。
これほどの力の衝突だ、敗れた方はその場で命を落とすだろう。
「ドフラミンゴ・・・っ・・・!!」
貴方が勝とうが、麦わらが勝とうが、もうどちらでもいい。
「お願い・・・!!」
どうか、死なないで・・・!!
貴方にはまだ、私の心を伝えていないから───
クレイオがもう一度、ドフラミンゴの名を叫ぼうとしたその刹那。
運命が、この戦いの勝者を決めた。