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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)




不思議と今、心はとても晴れ晴れとしていた。

ああ・・・これが“自分の意志”を持つということか・・・


「だからお願い・・・貴方は私に構わず逃げて」


さようなら。
冷たく光る鳥カゴの柵を背に微笑むクレイオは、儚いながらも幸せそうだった。

そんな彼女の姿を見て、もう止めることはできない。
女性はクレイオから一歩離れると、両目に涙を浮かべた。


「では、私にも一つだけワガママを言わせてください」

「・・・?」

「貴方の最期を見守らせてください」


形も残らずに死ぬのはあまりにも可哀想だ。
せめてもの手向けとして、その瞬間だけでも胸にとどめておこう。


「・・・ありがとう」


鳥カゴはもう、直径数キロという絶望的な小ささにまで縮小している。
しかし、それでもドレスローザの人々は諦めずに生き延びようとしていた。

「オイ、そこの姉ちゃん! そっちに行ったら死ぬぞ!?」

静かに鳥カゴの方へ歩いていくクレイオに向かって、誰かが叫んだ。

「リク王様が言っていただろ!! 諦めるなって!! 麦わらがきっとドフラミンゴをやっつけてくれる!!」

「ええ・・・私もそう信じている」


だから、私は先に逝くのよ。

ドフラミンゴ・・・貴方は以前、私にこう聞いた。


“お前はいったい、いつになったらおれに心を開く?”


それはきっと、貴方の糸が私の心臓を真っ二つに裂いた瞬間に分かるのではないかしら。


「ドフラミンゴ・・・」


鳥カゴの正面に立って、両手を広げる。
一羽の鳥が翼を広げるように。



「───貴方を愛している」



玩具にだって心はあるのよ。


ズズ・・・と地面を裂きながら近づいてくる鳥カゴ。
恐怖は無い。



「さようなら、ドフラミンゴ」



私を天から堕としてくれてありがとう。
この命を終わらせてくれてありがとう。


美しい顔に最期の笑みが浮かんだのと同時に、幾本もの鋭い糸がクレイオの身体に食い込んでいった。









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