第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
ドレスローザの中心となっている「ひまわり畑」。
クレイオが怪我をしているとはいえ、ここから30分くらいで行けるだろう。
だが、アカシアの街はパニック状態となっていて、真っ直ぐ進めそうにない。
その上、ドフラミンゴの能力によって傷ついた人がそこら中に倒れているのに、彼らを見捨てていかなければならないということが二人を躊躇わせた。
「行きましょう、クレイオ様!」
鳥カゴは目に見えて縮小し続けている。
見捨てられた人達が、数十分もしないうちに命を落とすことになるのは明白だった。
「ドフラミンゴ・・・」
貴方は今、この状況を見て笑っているの?
国中から湧き上がる悲鳴を聞いて、何を思っているの?
ロシナンテは命を懸けても貴方を止めることはできなかった。
───この国はもう・・・全滅を待つ他にないのか。
誰もが絶望を認めざるを得なくなっていた、その時。
ドゴォン!!
突然、中心街にある教会の塔が大きく崩れた。
まるで空から隕石が落ちたかのように、なんの前触れもなくガラガラと壁が崩れていく。
「ドフラミンゴが空から降ってきた!!」
「逃げろ、殺されるぞ!!」
「ひまわり畑」から数百メートル飛ばされた程度で死ぬドフラミンゴではない。
瓦礫の中からゆらりと立ち上がると、中心に向かって集まっていた人々は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
さほど離れていない距離にドフラミンゴがいる。
それだけでクレイオの心臓が高鳴った。
恐怖?
違う・・・
「ドフラミンゴ・・・!!」
貴方ともう一度話がしたい。
この国を救うためではない。
そもそも私にはそんな力などないし、今のドフラミンゴには誰の言葉も耳に届かないだろう。
それでも・・・
厚い雲、糸の檻によって遮られた空。
貴方が生み出すこの残酷な世界こそが私の全て・・・だから最後に伝えたい言葉がある。
「・・・!! クレイオ様、あれを見てください!!」
「え・・・?」
女性が指さす空を見上げると、空中に異形の人間が浮いていた。