第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
波のない海の上に身体を浮かべているような、ユラユラとした感覚。
頭・・・正確に言えば、右のこめかみから血が出ているのを感じる。
温かくて・・・気持ちいい。
そういえば、生まれてからずっと、“痛い”ことの方が多かった。
初めて男に抱かれたのは7歳の時。
自分の顔よりも大きい男性器を舐めさせられ、まだ女性として完成していない膣に挿入された。
泣いてはいけない。
睨んではいけない。
何をされても、天竜人の前ではただ無表情の傀儡となれ。
痛くて、吐きそうで、苦しくて。
でも誰も救ってくれる人なんかいない、だって私は奴隷なのだから。
『きれい・・・きれいって良いことなのかな・・・』
美しさって・・・何?
『下界に落ちたら、お腹が痛くなることも、おまたが痛くなることもないのかな・・・』
痛みのない世界はいったいどこにあるの・・・?
『晴れて奴隷となったお前達に、世界一気高い方より名前を賜った───』
奴隷として生まれたこの命がここで終わっても心残りはない。
だけどできるなら・・・
『No.217、お前は今日からクレイオと名乗れ』
今度生まれ変わる時は、世界一醜い姿でいいから・・・
奴隷でも、玩具でもなく、“人間”として生まれたい───
そう願いながら目を閉じようとした時、遠くから誰かの声が聞こえてきた。
クレイオ様・・・!!
クレイオ様・・・!!
もう眠ってしまいたいのに、その声のせいで意識がゆっくりと引き戻されていく。
誰・・・?
私の名前を呼ぶのは・・・
「クレイオ様・・・!!」
ああ、この声を知っているような気がする・・・
でも・・・誰だっけ・・・