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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)




人間が空を飛ぶ。
そんなあり得ない光景に、クレイオは空を見上げたまま硬直していた。

「な・・・」

ピンク色の“翼”を広げ、その圧倒的な体躯を宙に浮かす様は、まるで天から降臨した悪魔のようだ。
残忍な笑みを口元に浮かべながら、誰もがひれ伏す絶対的支配者であるはずの天竜人を悠然と見下ろしている。

クレイオはそのような人間など見たことが無かった。

否。

想像もしたことが無かった。

天竜人の頭上に誰かが立つなど・・・


「おいおい・・・せっかく会えたんだ、隠れるんじゃねェよ」

悪魔は、船室の中に逃げ込もうとしていた天竜人に向かって口を開いた。

「その顔は、おれに心当たりがあるようだな? そうだ・・・21年前、お前らはおれの帰還を拒んだ」

「やはり、お前は・・・!!」

「おれはドンキホーテ・ドフラミンゴ・・・ドンキホーテ・ホーミングの息子だ」

神でいる特権を捨て、人間に“成り下がった”天竜人。
そのホーミング聖を殺し、生首を持ってマリージョアに現れた10歳の少年を、天竜人達は下界に突き返した。

一度人間になったものを聖地に再び迎え入れるほど、天竜人であるという地位は安いものではない。

そんなエゴが、このような悪魔を生んだのか。


「貴様・・・な、何が望みだ・・・?」

「フッフッフッフッ・・・」


悪魔は可笑しそうに笑うと、ゆっくりと右手を天に突き上げた。
その瞬間。


ドォン!!!


砲弾が飛んできたわけでもないのに、天竜人の帆船の一部が突然爆発する。
その衝撃で船体が大きく揺らぎ、クレイオは慌てて近くにあった柱に掴まった。

もうもうと立ち込める煙の中から出てきたのは、黒い革コートを着た男。
彼がマストに手を当てた途端、まるで風船のように木の柱が膨らみ、数秒もしないうちに船の心臓部が破裂してしまった。







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