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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)





周囲の止める声も聞かず、天竜人はその日のうちに船を出航させた。
天竜人が航海するということで、急きょ海軍から派遣された護衛とともに、輸送船が沈められたという海域を目指す。

天竜人の目を盗んで甲板に出たクレイオは、目の前に広がる光景に息を飲んだ。


「・・・青い・・・!!」


見渡す限りの大海原。
空の青が海面と溶け合い、真っ白な光の水平線がその境界を区切っている。

さらに、“赤い土の大陸”レッドラインの頂上には届かない潮風の匂いもはっきりと感じた。


「・・・広い・・・」


この海の上には無数の島があって、そこにはたくさんの下々民が住んでいると聞く。
奴隷の自分には想像もつかないような生活を送っているのだろう。


それにしてもなんと美しい空だろう。

いつもは近く見える太陽があんなに遠く・・・
いつもは下に見える雲があんなに高く・・・

ここは空気が薄くないし、息苦しくもない・・・


「これが下界・・・」


頬を上気させながら呟いた、その時だった。
甲板から身を乗り出すようにして景色を見つめていたクレイオの髪を誰かが強く引っ張る。

「誰が外に出ていいと言ったかえ?!」

「も、申し訳ございません!!」

そこにいたのは天竜人。
奴隷のくせに勝手な行動を取られたことが気に入らないのか、クレイオの左頬を拳で強く殴った。

「わちしの命令に背くなら、このまま海に落としてやるえ?!」
「申し訳ございません、二度といたしません!」
「お前の顔は、わちしの傑作。それをわちし自ら傷つけさせるよう仕向けるとは何事かえ!!」
「・・・・・・・・・・・・」

下界の海にいようと、天竜人の船にいる限りは結局、ここは聖地マリージョアと変わりない。
この高い空を見る自由も一切無い。

成す術もなく、天竜人に引き摺られるようにしながら船室に入ろうとした、その刹那。



「───六時の方向に敵船確認!!!」



突然、見張り台にいた海兵の、敵襲を知らせる叫び声が響いた。








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