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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)




天竜人の奴隷となってから5年たった、ある日。

かつてない“事件”が起こり、マリージョアに震撼が走った。


「わちしの船が海賊に襲われただと!?」

パリンッというワイングラスの割れる音と一緒に、天竜人の怒鳴り声が屋敷に響く。
天竜人の傍らで果物が盛られた銀食器を持っていたクレイオは、そのただならない空気に眉をひそめた。

「いったいどこの命知らずだえ?! 今すぐに殺してやるえ!!」

詳しくは分からないが、各国からの天竜人への貢ぎ金『天上金』を積んだ輸送船が海賊の襲撃に遭ったようだ。
海軍トップクラスの軍艦が護衛していたはずなのに、何故こんなことが起こってしまったのか。

「天上金に手をつけるということは、神への冒涜!! 許さん!!!」


天竜人に手を出してはいけないというのは、この世界の常識であり戒律だ。
それを破って輸送船を襲った海賊はよほどのバカか、それとも・・・・・・


「今、詳しく調べているところですが、どうやら犯人が・・・その・・・」

言葉を濁している従者に、天竜人は苛立ちを隠さなかった。

「何だえ?! さっさと言え!!」
「そ、それが・・・」
「ええい!! わちしを待たせるというのか!!」

天竜人はボディガードの懐から銃を奪うと、その従者に向かって3発発砲した。
当然、従者はおびただしい血を吹き出しながら倒れていく。

「愚図め・・・!」

天竜人の逆鱗に触れれば命がないことは、床に倒れた従者を見れば分かること。
私欲に満ちた聖人は、肥えた身体をせわしなく揺らしながら、残った従者達を見て金切り声を上げた。


「船を出せ!! 無礼者を自ら成敗してやるえ」


さらに、隣で固まっていたクレイオの腕を引っ張っり、床に突き飛ばす。


「お前もついて来い! 船の中は男ばかりで臭くてたまらん」

「わ・・・私も・・・でございますか?」

「航海が長引いた時のためだえ! さっさと仕度しろ!!」


どうせ船での退屈しのぎとして御奉仕させられるのだろう。
しかし、初めての下界にクレイオの瞳は僅かに輝いていた。


“航海”と言えるほど船を走らせるまでもなく、その旅は強制的に終わらせられることになるとも知らずに・・・








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