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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)





マリージョアは世界の頂。

ここから見上げる空を遮るものは何一つなく、時間が経過するにつれて水色から青、濃紺へと色が変化し、夜になれば銀色の星が頭上一面に輝きだす。

クレイオは子ども部屋の窓辺から、移り行く空をじっと見つめていた。

細い手首には、縄で縛られた紫色の痕がくっきりと浮かび上がっている。
初めての奉仕でも抵抗など一切しなかったのに、犬のように縛られ、大の字になるようベッドの柱に括りつけられた。


泣いてはいけない。
睨んではいけない。

何をされても、天竜人の前ではただ無表情の傀儡となれ。

そう教え込まれた美しい少女達は、笑うことすらも許されずにいた。



「・・・!!」

痛む左手首をさすりながら窓枠の所に佇んでいたクレイオの頬に突然、温かいものが触れる。

「No.217、だいじょうぶ?」

振り返ると、そこには湯気がたつマグカップを持った姉が立っていた。

「No.56・・・」

2年前、誰よりも早く天竜人に見初められたNo.56。
絹のような黒髪、口紅など引いていないのに艶やかな赤い唇、そしてガラス玉のような大きな瞳は、見る者全てが“将来はとびきりの美人になる”と思うだろう。

「はじめての御奉仕、たいへんだったでしょ。ココア、もらってきた」
「・・・・・・いらない」

クレイオは視線を窓の向こうに戻し、生々しい痕が残る手首を隠すように腕を組んだ。

「・・・いまは何もいらない」

天竜人から解放された後、お腹がずっとグルグルとなっていて気持ち悪い。
夕ご飯も、少し口に入れただけで吐いてしまった。

「わかるよ、わたしもそうだから」

「・・・・・・・・・・・・」

「お腹が痛くなって、おまたも痛くなって、ご飯が食べられなくなる・・・でも、わたしはココアを飲んで元気をだしてる」


それは、こんなに幼くても終わりのない地獄だと分かっているから───


「だから、No.217も元気を出して」


No.56は特に天竜人から気に入られている。
あと数年もしたら彼女だけを残し、この子ども部屋から全ての少女がいなくなるだろう。








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