第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
選び抜かれた美男、美女の間に生まれた子達。
“人工的”とはいえ、その容姿は目を見張る美しさだった。
しかしやはりそこは神ではなく、人間が作ったもの。
成長するにつれて、基準から外れていく子どもも少なく無かった。
「全員、一列に並べ!」
その号令がかかると、少女達は裸になり、それぞれのベッドの前で直立しなければいけない。
程なくして付き人を従えた天竜人が入ってくると、少女一人一人の顔や身体を嘗め回すように見ては、目に留まった者を指さす。
「この者は鼻が大きすぎるえ」
「この者は口が曲がってるえ」
「この豚は太り過ぎだえ」
5歳にも満たない少女達の容姿を辛辣な目で評価し、自分の美意識にそぐわない者は下々民に落とす。
「・・・・・・・・・・・・」
クレイオは物心ついた時から、この“整列”が怖くて仕方がなかった。
天竜人に捨てられるということは、死を意味することだと聞かされていたから。
厭らしい男の視線がクレイオを捉えたら最後、何も言わずに去っていくのをただひたすら願い、震えながら待つしかなかった。
「お前らはわちきの芸術作品だえ。美しくない者はここで生きる価値などない」
従者達はその天竜人の言葉に、拍手を捧げていた。
“我が君は類まれなる美意識を持たれた、希代の芸術家でございます”ともてはやしながら。
ここにいる少女達は人間ではなく、ただの“作品”だった。
時折、天竜人は下界へ落とすため以外にも少女を指さすことがあった。
「この者を閨に」
すると従者は指さされた少女の身体を洗い、天竜人の寝室に向かわせる。
彼は自身の美しさの基準を満たした女ならば、何歳でも性の対象とした。
たとえそれが幼女であっても。
そして、気に入った少女の身体を満足するまで嬲り続けた。