第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
月を背にしているドフラミンゴの手が、クレイオの胸をまさぐりながらその中央に垂れ下がる真珠のネックレスに触れた。
月明かりのように柔らかい光を放っているその真珠は、クレイオの体温を受けてほんのりと温かい。
「おれがドレスローザに“帰還”してから3年・・・ベビー5も17歳か」
17歳で初体験ならば、決して早すぎないだろう。
形はどうあれ、最初のセックスはそれなりの“痛み”をともなう。
だが、ドフラミンゴの思考は今、ベビー5ではなく別のところにあった。
「ということは、“あいつ”はもう19か・・・フッフッフッ、酒の味も、女の味も、分かっている頃だろうなァ」
「あいつ・・・?」
ドフラミンゴは答えなかったが、サングラスの向こうに微かに見える瞳は、真っ直ぐと“ハートの椅子”に向けられている。
「もしかして・・・貴方の弟と一緒に姿を消したという、ローっていう男の子のこと?」
「ああ、ベビー5の二つ年上だった」
「でも、生きているかどうか分からないんでしょ?」
クレイオがドフラミンゴと出会う前のことだから、話にしか聞いたことがないが・・・
ドフラミンゴは6年前、ある島で実の弟であるコラソンを殺した。
コラソンは死の間際、一緒にいたローがすでに海軍に保護されている頃だとドフラミンゴに伝えたらしい。
しかし、海軍に潜入していたヴェルゴが調べた結果、“保護された少年”はローではなく別の少年だったということが分かった。
どういう手段を使ったかは分からないが、ローはあの時ドフラミンゴの手から逃れ、姿を消したきりだという。