第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
白を基調としたクローゼットの中央には、鏡張りのアイランドキャビネットが置いてある。
その4段になっている引き出しには全て、ドフラミンゴがクレイオにプレゼントした宝石が詰まっていた。
ネックレス、イヤリング、指輪、髪飾り、スカーフ、香水、ベルトなど贅沢な宝飾品の数々。
キャビネットは、まるでそれ自体が巨大な宝箱のようだ。
ドフラミンゴは一番上の引き出しを開くと、ベロアが貼りつけてある上等なジュエリーケースを取り出した。
中に入っているのは、一粒の真珠がついたネックレス。
純金の装飾が施されたそれは、まるで天使の羽のように清らかな白色をしており、光に浴びると純金をも霞ませるほどの輝きを見せていた。
「いつもつけていろと言ったろうが」
ネックレスを無造作に掴んでベッドに戻ってくると、クレイオの身体を起こしてつけてやる。
豊満な胸の谷間に真珠の光が差す様を見て、ドフラミンゴは満足そうに微笑んだ。
「この真珠はお前によく似合う」
世界に類を見ない美しさの真珠。
運命に導かれるようにして出会ったこの輝きを見た瞬間、どうしてもクレイオにプレゼントしなければならないと思った。
「とても貴重な真珠だ。それ一つで国が二つ買える」
その白いうなじと、純金の鎖のコントラストも素晴らしい。
長い髪を横に流させ、さらに滑らかな肌を堪能する。
「───“人魚の涙”を着けたお前はまた、一段と美しさを増すな」
暗い部屋で輝く真珠の光は、とても澄んでいた。
それはまるで、無垢な人魚が流した涙のよう。
「ドフラミンゴ・・・」
クレイオは上から迫ってくるキスを受け止めながら瞳を揺らした。
首元で光るネックレスだけでなく、キャビネットの中には高価な宝石がゴロゴロと眠っている。
ドフラミンゴは贅沢な暮らしをさせてくれるけれど・・・
クレイオが本当に望んでいるものだけは、絶対に与えようとしない。
「クレイオ・・・綺麗だ」
「・・・・・・・・・・・・」
ドフラミンゴが抱きしめるクレイオの背中には・・・
天竜人の紋章、「天翔ける竜の蹄」の焼印が押されていた。