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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第6章 真珠を量る女(ロー)




「たとえそうだとしても・・・私は生き方を変えるつもりはないし、若様に見限られてもそれを受け入れる」

父親から与えてもらった彫り師の技術。
ドフラミンゴから与えてもらった両替商の眼。

両方ともクレイオの生きる術だ。
この先、どんなに混沌とした世界となっても、これで生き抜いていくしかない。


「ロー・・・もし、私を殺したいと思うのなら、一つだけお願いがある」


クレイオは背筋を正すと、正座の姿勢からつま先を立てた。
それはまるで武士が切腹をする時の姿のようで、そのままローを真っ直ぐと見据える。

彼女は紛れもなく、侍の娘だった。


「貴方の身体に彫った刺青を・・・どうか大切にして欲しい」


それは私の最期の作品となる。
命ある限り、守っていって欲しい。


「どうか、腕を斬り落とされないで」


両腕に彫られたシンボルと、DEATHの文字。


「どうか、背中を斬られないで」


ハートの海賊団の髑髏。


「どうか・・・どうか・・・死なないで」


それらの刺青は、私の生きた証なのだから。


「それだけ約束してくれたら・・・私は死を受け入れよう」


ロー・・・
私の生き方が貴方の覚悟の邪魔になるのなら、喜んで殺されよう。

ホリヨシの技術はワノ国の宝。
島の外に持ち出していいものではなかった。

この技術で確かに奴隷達を救うことはできたかもしれない。
しかし、政府の“危険因子”とされ、ホリヨシの名に傷をつけることになった。


「言ったでしょ・・・“これが私の生涯最後の作品となってもいい”、そう思えるようにいつも彫っていると・・・」


これを最後に、二度とノミを握れなくなってもいい。
その覚悟で客の肌に針を刺している。

感染病にかかった父も、最期となる刺青が完成した時、とても満足そうだった。
我が人生に悔いなし・・・と、そう言っていた。


「貴方の身体に彫った刺青は、私の最高傑作・・・彫り師として思い残すことはない」


私は貴方の恩人を殺した若様を憎むことができない。
それだけ大切な人なの。

それを許してくれないのなら・・・どうぞ殺しなさい───







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