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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第6章 真珠を量る女(ロー)




「・・・政府の人間には、つくづく吐き気がするぜ」

それは、ローが子どもの頃から変わらずに思ってきたこと。

世界政府の私利私欲のために、珀鉛を掘り続けさせられたフレバンス王国。
とうとう国中から珀鉛病の発症者が出ると、政府は臭い物に蓋をするため戦争を起こし、滅亡させた。

政府に対する嫌悪感を隠そうともしないローを見て、クレイオは力なく微笑んだ。


「海兵に手錠をかけられた時はもう、死を覚悟していた。ただ心残りだったのは・・・」


ホリヨシを継ぐことができなかったということ。
自分はまだ、彫り師として半人前だった。


「引きずられるようにして外に出ると、私達の作業場に火が放たれた。きっと見せしめの意味もあったんだと思う・・・若様が現れたのは、その時だった」


数人の部下を連れ、金色の髪にサングラスをかけた長身の海賊。


“フッフッフッ・・・なんだなんだ、随分と派手なアソビをしているじゃねェか”


「偶然通りかかった若様は、楽しそうに笑っていた・・・でも、海兵達が一斉に銃を彼に向けるのを見て、思ったの」


この人は、政府の敵なんじゃないか───


「“助けてください”と叫んだのは、無意識だった。見ず知らずの、しかも海兵に銃を向けられるような人が私達を助けてくれるはずもないのに・・・」


時系列から見て、クレイオが語るのはコラソンを殺した後のドフラミンゴだ。
シャボンディ諸島にいたのは、七武海に入れてもらうためにマリンフォードへ寄る途中だったのだろうか。

いずれにしても、その名前と当時の姿を思い浮かべただけで、ローの全身に寒気が走る。


「すると、若様はこう言った」


“助けるのは構わねェが、それでおれに何の得がある?”


「私はワラにもすがる思いだった」


“助けてくれたら・・・貴方に『人魚の涙』を差し上げます!!!”


その瞬間、それまで薄ら笑いを浮かべていたドフラミンゴの表情が変わった。







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